【地域包括医療病棟】入院料の細分化と高齢者対応の強化
手術・緊急入院の有無に応じた3区分と急性期病棟併設の有無に応じた2類型
入院料1は最高3,367点/日(現行3,050点から+317点)。他病棟併設に応じた評価、85歳以上患者割合に応じた平均在院日数緩和、リハ栄養口腔連携加算の体系見直し、包括期充実体制加算の新設まで詳解します。
令和8年度診療報酬改定において、地域包括医療病棟入院料が大幅に見直しされます。
現行の一律3,050点/日から、入院料1(一般病棟入院基本料を算定する病棟非併設)と入院料2(併設可)の2類型に分かれ、さらに手術・緊急入院の有無により3区分の点数が設定されました。入院料1の最高点数は3,367点/日で、現行から317点の引き上げとなります。
本記事では、入院料の新体系、施設基準の変更点、高齢者特性に配慮した基準緩和、リハ栄養口腔連携加算の見直し、包括期充実体制加算の新設、シミュレーションまで解説します。
1. 改定の背景と趣旨
地域包括医療病棟は、令和6年度改定で新設された入院料で、高齢者の救急搬送受入や誤嚥性肺炎や尿路感染症など中等症までの急性期疾患の診療を担う病棟として位置づけられています。
しかし、緊急入院で手術を行わない患者は出来高算定が少なく、一律の入院料では十分に評価されていないなどの課題がありました。
また、85歳以上の超高齢患者の増加に伴い、高齢者の生理学的特徴を踏まえた平均在院日数やADL低下割合の基準の見直しも求められていました。
今回の改定では、これらの課題に対応するため、入院料の細分化、高齢者特性への配慮、リハビリテーション・栄養管理・口腔管理の一体的取組の推進という3つの柱で見直しが行われています。
2. 新たな入院料体系と点数
2-1. 入院料1・2の2類型と3区分
地域包括医療病棟入院料は、一般病棟入院基本料を算定する病棟の併設状況に応じて入院料1と入院料2に分かれ、さらに手術・緊急入院の有無に応じて3つの入院料区分が設定されました。
【地域包括医療病棟入院料1】一般病棟入院基本料を算定する病棟を有しない医療機関
【地域包括医療病棟入院料2】病棟の併設制限なし
入院料1は入院料2より各区分で51点高い設定です。これは、急性期病棟等のバックアップがない中で包括期の病棟のみで救急受入等を行う負担などを評価したと考えられます。
2-2. 現行との点数比較
| 区分 | 点数/日 | 現行比 | 対象患者 | 地域包括医療病棟入院料1(一般病棟入院基本料を算定する病棟併設不可) |
|---|---|---|---|
| 入院料1 入院料1(新設) | 3,367点 | +317点 | 緊急入院+手術なし |
| 入院料1 入院料2(新設) | 3,267点 | +217点 | 緊急入院+手術あり/予定+手術なし |
| 入院料1 入院料3(新設) | 3,117点 | +67点 | 予定入院+手術あり |
| 地域包括医療病棟入院料2(病棟併設可) | |||
| 入院料2 入院料1(新設) | 3,316点 | +266点 | 緊急入院+手術なし |
| 入院料2 入院料2(新設) | 3,216点 | +166点 | 緊急入院+手術あり/予定+手術なし |
| 入院料2 入院料3(新設) | 3,066点 | +16点 | 予定入院+手術あり |
持続可能な組織づくりには、管理体制の整備が重要です
収益増加方策×組織体制効率化・有効化が、持続可能な運営体制には重要です。組織体制をいかに効率化・いかに実効性を持たせるかが問われます。「体制はあるが形骸化している」「属人的で標準化されていない」等の課題がある場合管理体制の見直しが有効です。
管理体制アドバイザリーの詳細はこちら3. 施設基準の変更点
3-1. 入院料1と入院料2の施設基準の違い
今回の改定で最大の変更点は、一般病棟入院基本料を算定する病棟の併設の有無によって入院料が分類された点です。
| 要件 | 入院料1(新設) | 入院料2(新設) |
|---|---|---|
| 基本的な施設基準 | 現行の施設基準を充足 | 現行の施設基準を充足 |
| 一般病棟入院基本料を算定する病棟 | 有していないこと | 制限なし |
3-2. 重症度、医療・看護必要度の見直し
地域包括医療病棟で頻度の高い疾患の特徴を踏まえ、重症度、医療・看護必要度の基準が見直されました。
| 指標 | 改定後 | 現行 |
|---|---|---|
| 必要度Ⅰ | 19%以上 | 16%以上 |
| 必要度Ⅱ | 18%以上 | 15%以上 |
3-3. 平均在院日数の見直し(85歳以上患者への配慮)
高齢者の生理学的特徴に配慮し、平均在院日数の基準に85歳以上の患者割合に応じた緩和措置が導入されました。
【改定後の平均在院日数】
当該病棟の入院患者の平均在院日数が20日以内を原則として、85歳以上の患者の割合が2割を増すごとに1を加えた日数以内であること。
| 85歳以上患者割合 | 改定後の平均在院日数基準 | 現行 |
|---|---|---|
| 20%未満 | 20日以内 | 21日以内(一律) |
| 20%以上40%未満 | 21日以内 | |
| 40%以上60%未満 | 22日以内 | |
| 60%以上80%未満 | 23日以内 | |
| 80%以上 | 24日以内 |
原則の基準は現行21日から20日に1日短縮されていますが、85歳以上の患者割合が高い病棟ほど基準が緩和される仕組みとなっています。
また、退院時のADLが低下したものの割合要件においても、85歳以上の患者割合が高い病棟ほど基準が緩和される見込みです。
4. リハビリテーション・栄養・口腔連携加算の見直し
リハビリテーション・栄養管理・口腔管理の一体的な取組を更に推進するため、加算の体系が見直されました。
| 区分 | 改定後 | 現行 | 算定期間 |
|---|---|---|---|
| リハ栄養口腔連携加算1(新設) | 110点/日 | 80点/日(一律) | 計画作成日から14日限度 |
| リハ栄養口腔連携加算2(新設) | 50点/日 |
現行80点の一律評価から、加算1(110点)と加算2(50点)の2段階に細分化されました。加算1は30点の増点となり、より充実したリハビリテーション・栄養管理・口腔管理の一体的取組を行う病棟がさらに評価されます。
5. 包括期充実体制加算の新設
高齢者救急、在宅医療及び介護保険施設の後方支援を更に充実させる観点から、包括期充実体制加算が新設されました。
【包括期充実体制加算】
【包括期充実体制加算の施設基準】
- 許可病床数200床未満(一定地域では280床未満)の病院
- 地域包括医療病棟入院料又は地域包括ケア病棟入院料を算定する病棟を有すること
- 急性期病院一般入院料及び急性期一般入院基本料を算定する病棟を有しないこと
- 高齢者の救急患者を受け入れ、在宅医療や介護保険施設等の後方支援を担うにつき十分な体制が整備されていること
- 在宅医療や介護保険施設等の後方支援に係る実績を十分有していること
- 入退院支援加算1に係る届出を行っていること
本加算は、急性期病棟を持たない200床未満の病院で、地域包括医療病棟又は地域包括ケア病棟で在宅・介護施設の後方支援を担う病院を評価するものです。
6. 入退院支援加算の見直し
入退院支援加算1について、新たな点数区分が設けられました。
| 区分 | 改定後 | 現行 |
|---|---|---|
| 入退院支援加算1 イ 一般病棟入院基本料等の場合 | 700点 | 700点 |
| 入退院支援加算1 ロ 地域包括医療病棟・回復期リハ病棟・地域包括ケア病棟の場合(新設) | 1,000点 | ― |
| 入退院支援加算1 ハ 療養病棟入院基本料等の場合 | 1,300点 | 1,300点 |
地域包括医療病棟、回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟に専用の入退院支援加算1(1,000点)が新設されました。
7. シミュレーション
【前提条件】
病床数:50床(地域包括医療病棟)、病床稼働率:85%、平均在院日数:20日
入院患者構成:緊急入院+手術なし 50%、緊急入院+手術あり+予定入院+手術なし 35%、予定入院+手術あり 15%
【入院料1(一般病棟入院基本料を算定する病棟非併設)の場合】
1日あたり加重平均点数(入院料のみ):3,367点×50% + 3,267点×35% + 3,117点×15% = 3,294点
現行との差額:3,294点 – 3,050点 = 244点/日・人
年間延べ入院患者数:50床 × 85% × 365日 = 15,513人日
(15,513人日 × 244点 × 10円)
これに加え、リハ栄養口腔連携加算1、包括期充実体制加算、入退院支援加算の増点などによる増収が見込まれます。
上記はあくまで単純な試算であり、実際の増収額はDPC対象か否か、患者構成、加算の算定状況等により異なります。
8. 医療機関が対応すべき実務チェックリスト
1入院料1・2の選択判断
自院に一般病棟入院基本料を算定する病棟があるかにより、入院料1・2の選択を検討する。
2重症度、医療・看護必要度の基準充足確認
必要度Ⅰ:19%以上(現行16%)、必要度Ⅱ:18%以上(現行15%)の基準を充足しているか確認する。
3平均在院日数と85歳以上患者割合の確認
85歳以上の患者割合を集計し、自院に適用される平均在院日数の基準値(原則20日+85歳以上割合2割ごとに+1日)を確認する。
4リハ栄養口腔連携加算1の算定体制整備
リハビリテーション・栄養管理・口腔管理の一体的な取組について、加算1(110点)の施設基準を確認し、体制を整備する。
5包括期充実体制加算の届出検討
200床未満で急性期病棟を有しない病院は、在宅医療・介護保険施設の後方支援体制と実績を確認し、包括期充実体制加算(80点/日)の届出を検討する。
6収支シミュレーションの実施
入院患者の緊急入院・予定入院別、手術有無別の構成比を分析し、改定後の入院料収入を試算する。加算の算定見込みも含め、総合的な収支影響を確認する。
9. まとめ
【改定4つの特徴】
- 入院料の細分化:一律3,050点から、急性期病棟併設の有無で2類型、手術・緊急入院の有無で3区分に細分化。入院料1の最高点数は3,367点/日(+317点)。
- 一般病棟入院基本料算定病棟非併設の評価:急性期病棟などを持たず救急受入等を行う病院を、高く評価。
- 高齢者特性への配慮:平均在院日数を85歳以上患者割合に応じて緩和(原則20日+2割ごとに+1日)。重症度、医療・看護必要度の基準見直し。
- 後方支援機能の充実:包括期充実体制加算(80点/日)の新設、リハ栄養口腔連携加算の2段階化(110点/50点)、入退院支援加算の専用区分(1,000点)新設。
今回の見直しは、地域包括医療病棟の役割を「高齢者の中等症までの救急疾患を包括的に診療する病棟」としてより明確に位置づけ、その機能を患者像に応じてきめ細かく評価する改定です。
特に、急性期病棟を持たない中小病院で地域包括医療病棟を運営している場合は、入院料1の届出に加え、包括期充実体制加算の算定も検討することで、増収効果が大きくなる可能性があります。まずは自院の患者構成データ(緊急入院割合、手術割合、85歳以上患者割合)を精査し、改定後の収益影響を定量的に把握することが重要です。
診療報酬改定対応の第一歩は、
管理体制の現状把握から
持続可能な組織運営には、収益増加策と合わせて管理体制の再構築が重要です。
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