【新設】急性期総合体制加算
総合入院体制加算・急性期充実体制加算を統合した新評価体系
加算1は7日以内530点/日で最高水準。総合性と集積性を持つ拠点病院を5段階で評価。施設基準、既存加算との比較、シミュレーションまで詳解します。
令和8年度診療報酬改定において、地域における拠点的な医療機関を評価する観点から、従来の総合入院体制加算及び急性期充実体制加算を統合し、「急性期総合体制加算」が新設されます。
新加算は5段階の区分で構成され、加算1は7日以内530点/日と、従来の急性期充実体制加算1(440点)を大幅に上回る点数となっており、入院期間に応じた3段階の点数が設定されています。
また、加算5は人口の少ない地点病院に配慮した設計となっています。
本記事では、新加算の概要、施設基準の詳細、既存加算との比較、シミュレーションまで解説します。
1. 改定の背景と趣旨
従来、地域の拠点的な急性期病院を評価する加算として、総合入院体制加算(1~3)と急性期充実体制加算(1・2)の2つの加算がありました。
総合入院体制加算は、診療内容の総合性や手術等の実績に応じて、救急医療提供体制を備えた病院の「総合性」を評価するものでした。一方、急性期充実体制加算は、高度な手術件数等の実績を有する救急医療提供体制を備えた病院の「集積性」を評価するものでした。
人口の少ない地域では、総合的な機能を求められているものの、地理的な事情から、地域の症例や医療従事者を集約してもなお、実績要件等の基準を満たすことが困難な医療機関があり、総合入院体制加算を算定している事例が見受けられました。
人口20万人未満の二次医療圏などでは、へき地医療や救急はそれら算定要件を満たさない病院が担っている事例があり、それら病院に対する評価も必要でした。
今回の改定では、両加算を統合し、総合性と集積性の双方を備えた拠点病院を一体的に評価する急性期総合体制加算を新設しました。人口の少ない地域における救急搬送受入や地域の外来・在宅診療体制の確保を支援する拠点病院への配慮も盛り込まれています。
2. 急性期総合体制加算の概要と点数
急性期総合体制加算は、入院日から14日を限度として算定できる入院基本料等加算です。入院期間に応じた3段階の逓減制が導入されています。
| 区分 | 7日以内 | 8~11日 | 12~14日 |
|---|---|---|---|
| 加算1 | 530点 | 290点 | 210点 |
| 加算2 | 470点 | 230点 | 150点 |
| 加算3 | 440点 | 200点 | 120点 |
| 加算4 | 360点 | 150点 | 90点 |
| 加算5 | 300点 | 120点 | 60点 |
【ポイント】入院期間に応じた逓減制
現行の総合入院体制加算は14日間一律の点数でしたが、急性期総合体制加算では7日以内の点数が高く、日数に応じて逓減する構造となっています。
持続可能な組織づくりには、管理体制の整備が重要です
収益増加方策×組織体制効率化・実効化が、持続可能な組織づくりには重要です。組織体制の効率化・実効性が問われます。「体制はあるが形骸化している」「属人的で標準化されていない」等の課題がある場合管理体制の見直しが有効です。
管理体制アドバイザリーの詳細はこちら3. 施設基準の詳細
以下で、急性期総合体制加算各区分の主要な施設基準を解説します。
3-1. 加算1の施設基準
加算1は、最も高い水準の体制・実績を求める区分です。
【急性期総合体制加算1の主要施設基準】
- 急性期病院A一般入院料を算定する病棟を有する病院であること
- 地域において総合的かつ専門的な急性期医療及び高度かつ専門的な医療を提供するにつき十分な体制が整備されていること
- 総合的かつ専門的な急性期医療及び高度かつ専門的な医療に係る実績が十分であること
- 急性期の治療を要する精神疾患を有する患者等に対する入院診療を行うにつき必要な体制及び実績を有していること
- 医療従事者の負担の軽減及び処遇の改善に資する体制が整備されていること
- 入院患者の病状の急変の兆候を捉えて対応する体制を確保していること
- 感染対策向上加算1に係る届出を行っている保険医療機関であること
- 敷地内が禁煙であること
- 地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟入院料、地域包括ケア入院医療管理料又は療養病棟入院基本料に係る届出を行っていないこと
- 一般病棟入院基本料等の病床数の合計が、許可病床数の総数(精神病棟除く)の9割以上
- 一般病棟入院基本料を算定する場合、重症度、医療・看護必要度Ⅰの割合①が33%以上・割合②が40%以上の病棟または重症度、医療・看護必要度Ⅱの割合①が32%以上・割合②が39%以上の病棟
- 医療機能評価を受けている病院又はこれに準ずる病院
加算1は最上位の区分です。急性期病院A一般入院料(救急搬送年間2,000件以上・全身麻酔手術年間1,200件以上)を算定する病棟を有することが前提となります。
3-2. 加算2の施設基準
加算2は、加算1に次ぐ高い水準の区分です。
【急性期総合体制加算2の主要施設基準】
- 急性期病院A一般入院料を算定する病棟を有する病院であること
- 地域において総合的かつ専門的な急性期医療及び高度かつ専門的な医療を提供するにつき十分な体制が整備されていること
- 急性期の治療を要する精神疾患を有する患者等に対する入院診療を行うにつき必要な体制及び実績を有していること
- 医療従事者の負担の軽減及び処遇の改善に資する体制が整備されていること
- 入院患者の病状の急変の兆候を捉えて対応する体制を確保していること
- 感染対策向上加算1に係る届出を行っている保険医療機関であること
- 敷地内が禁煙であること
- 地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟入院料、地域包括ケア入院医療管理料又は療養病棟入院基本料に係る届出を行っていないこと
- 一般病棟入院基本料等の病床数の合計が、許可病床数の総数(精神病棟除く)の9割以上
- 医療機能評価を受けている病院又はこれに準ずる病院
- 総合的かつ専門的な急性期医療及び高度かつ専門的な医療に係る実績が一定程度高い水準であること
- 一般病棟入院基本料を算定する場合、重症度、医療・看護必要度Ⅰの割合①が32%以上・割合②が39%以上の病棟または重症度、医療・看護必要度Ⅱの割合①が31%以上・割合②が38%以上の病棟
加算2は、加算1と同様に急性期病院A一般入院料の算定が前提ですが、実績要件の水準が「十分」から「一定程度高い水準」に緩和されています。また、精神科入院対応に関する独自要件は設定されていない点が加算1との違いです。
3-3. 加算3の施設基準
【急性期総合体制加算3の主要施設基準】
- 急性期病院A一般入院料を算定する病棟を有する病院であること
- 医療従事者の負担の軽減及び処遇の改善に資する体制が整備されていること
- 入院患者の病状の急変の兆候を捉えて対応する体制を確保していること
- 感染対策向上加算1に係る届出を行っている保険医療機関であること
- 敷地内が禁煙であること
- 地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟入院料、地域包括ケア入院医療管理料又は療養病棟入院基本料に係る届出を行っていないこと
- 一般病棟入院基本料等の病床数の合計が、許可病床数の総数(精神病棟除く)の9割以上
- 医療機能評価を受けている病院又はこれに準ずる病院
- 地域において総合的かつ専門的な急性期医療及び高度かつ専門的な医療を提供するにつき必要な体制が整備されていること
- 総合的かつ専門的な急性期医療及び高度かつ専門的な医療に係る実績が高い水準であること
- 急性期の治療を要する精神疾患を有する患者等に対する診療を行うにつき必要な体制及び実績を有していること
- 一般病棟入院基本料を算定する場合、重症度、医療・看護必要度Ⅰの割合①が30%以上・割合②が37%以上の病棟または重症度、医療・看護必要度Ⅱの割合①が29%以上・割合②が36%以上の病棟
加算3は、実績要件の水準が「一定程度高い水準」から「高い水準」に緩和されています。
3-4. 加算4の施設基準
【急性期総合体制加算4の主要施設基準】
- 急性期病院A一般入院料を算定する病棟を有する病院であること
- 医療従事者の負担の軽減及び処遇の改善に資する体制が整備されていること
- 入院患者の病状の急変の兆候を捉えて対応する体制を確保していること
- 感染対策向上加算1に係る届出を行っている保険医療機関であること
- 敷地内が禁煙であること
- 地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟入院料、地域包括ケア入院医療管理料又は療養病棟入院基本料に係る届出を行っていないこと
- 一般病棟入院基本料等の病床数の合計が、許可病床数の総数(精神病棟除く)の9割以上
- 医療機能評価を受けている病院又はこれに準ずる病院
- 地域において総合的かつ専門的な急性期医療及び高度かつ専門的な医療を提供するにつき必要な体制が整備されていること
- 急性期の治療を要する精神疾患を有する患者等に対する診療を行うにつき必要な体制及び実績を有していること
- 総合的かつ専門的な急性期医療及び高度かつ専門的な医療に係る実績が相当程度あること
- 一般病棟入院基本料を算定する場合、重症度、医療・看護必要度Ⅰの割合①が29%以上・割合②が36%以上の病棟または重症度、医療・看護必要度Ⅱの割合①が28%以上・割合②が35%以上の病棟
加算4は実績水準が「高い水準」から「相当程度」に緩和されています。
3-5. 加算5の施設基準
加算5は、人口の少ない地域の拠点病院に配慮した区分となっています。
【急性期総合体制加算5の主要施設基準】
- 急性期病院一般入院基本料(急性期病院A又はB)を算定する病棟を有する病院であること
- 地域において総合的な急性期医療を提供するにつき必要な体制が整備されていること
- 急性期医療に係る実績を一定程度あること
- 急性期の治療を要する精神疾患を有する患者等に対する診療を行うにつき必要な体制又は実績を有していること
- 医療従事者の負担の軽減及び処遇の改善に資する体制が整備されていること
- 敷地内が禁煙であること
- 人口20万人未満の地域で最大の救急搬送を受け入れる病院以外の場合、地域包括医療病棟、地域包括ケア病棟入院料、地域包括ケア入院医療管理料又は療養病棟入院基本料に係る届出を行っていないこと
- 一般病棟入院基本料を算定する場合、重症度、医療・看護必要度Ⅰの割合①が28%以上・割合②が35%以上の病棟または重症度、医療・看護必要度Ⅱの割合①が27%以上・割合②が34%以上の病棟
加算5は、急性期病院一般入院基本料(今回同時新設のA又はB)を算定する病院が対象です。精神科要件も体制「又は」実績のいずれかで足りるなど、地域の拠点病院が幅広く取得できる設計となっています。
施設基準の対応関係まとめ
| 主な要件 | 加算1 | 加算2 | 加算3 | 加算4 | 加算5 |
|---|---|---|---|---|---|
| 対象入院基本料 | 急性期病院A | 急性期病院A | 急性期病院A | 急性期病院A | 急性期病院A又はB |
| 総合的かつ専門的救急・ 高度かつ専門的医療提供体制 | 十分な体制 | 十分な体制 | 必要な体制 | 必要な体制 | 必要な体制 ※総合的な急性期医療 |
| 総合的かつ専門的急性期・ 高度かつ専門的医療提供実績 | 十分 | 一定程度高い | 高い水準 | 相当程度 | 一定程度 ※急性期医療 |
| 精神科要件 | 入院診療 体制及び実績 | 入院診療 体制及び実績 | 体制及び実績 | 体制及び実績 | 体制又は実績 |
| 急変対応体制 | 必要 | 必要 | 必要 | 必要 | ― |
| 感染対策向上加算1 | 必要 | 必要 | 必要 | 必要 | ― | 一般病床比率9割 | 必要 | 必要 | 必要 | 必要 | ― |
| 医療機能評価 | 必要 | 必要 | 必要 | 必要 | ― |
4. 既存加算との比較(点数シミュレーション)
急性期総合体制加算と、現行の総合入院体制加算及び急性期充実体制加算について比較します。
| 区分 | 7日以内 | 8~11日 | 12~14日 |
|---|---|---|---|
| 急性期総合体制加算1(新設) | 530 | 290 | 210 |
| 急性期総合体制加算2(新設) | 470 | 230 | 150 |
| 急性期総合体制加算3(新設) | 440 | 200 | 120 |
| 急性期総合体制加算4(新設) | 360 | 150 | 90 |
| 急性期総合体制加算5(新設) | 300 | 120 | 60 |
| 急性期充実体制加算1 | 440 | 200 | 120 |
| 急性期充実体制加算2 | 360 | 150 | 90 |
| 総合入院体制加算1 | 260 | 260 | 260 |
| 総合入院体制加算2 | 200 | 200 | 200 |
| 総合入院体制加算3 | 120 | 120 | 120 |
シミュレーション:急性期充実体制加算1からの移行
ケース:急性期充実体制加算1 → 急性期総合体制加算1への移行
1日平均入院患者数400名、平均在院日数10日、月間新入院患者数1,200名と仮定
14日間の累積点数差:5,500点 – 4,240点 = +1,260点/患者
(1,260点 × 10円 × 1,200名 × 12月)
ケース:総合入院体制加算1 → 急性期総合体制加算3への移行
1日平均入院患者数300名、平均在院日数12日、月間新入院患者数750名と仮定
14日間の累積点数差:4,240点 – 3,640点 = +600点/患者
(600点 × 10円 × 750名 × 12月)
※上記は出来高算定を前提とした概算シミュレーションです。DPC算定の場合は実際の影響額は異なります。
5. 経過措置
今回の統合・新設にあたり、以下の経過措置が設けられています。
| 対象 | 経過措置の内容 |
|---|---|
| 総合入院体制加算の届出あり(令和8年3月31日時点) | 当分の間、急性期総合体制加算1~5の地域包括医療病棟に係る基準を満たしているものとみなす |
| 総合入院体制加算1又は2の届出あり(令和8年3月31日時点) | 当分の間、加算2及び加算4の一般病床比率9割に係る基準を満たしているものとみなす |
| 総合入院体制加算の届出あり(令和8年3月31日時点) | 当分の間、地域包括医療病棟入院料の急性期総合体制加算の届出がないことに係る基準を満たしているものとみなす |
6. 医療機関が対応すべき実務チェックリスト
1現行加算の確認と移行先の検討
現在算定している加算(総合入院体制加算1~3、急性期充実体制加算1・2)を確認し、急性期総合体制加算1~5のいずれの区分に移行可能か検討する。
2体制要件の充足確認
精神科入院対応の体制及び(又は)実績、感染対策向上加算1の届出状況、急変対応体制(RRS等)、医療機能評価の受審状況、地域包括ケア病棟等の届出状況、一般病床比率を確認する。
3実績要件の充足確認
手術件数(全身麻酔、悪性腫瘍、腹腔鏡下、心臓カテーテル、消化管内視鏡、化学療法、心臓胸部大血管等)について、各区分の実績要件との照合を行う。
4重症度、医療・看護必要度の確認
割合①(特に高い基準)、割合②(一定程度高い基準)の充足可能性を確認する。
5収支シミュレーションの実施
現行加算からの移行に伴う収支増減を算出する。
7. まとめ
【改定3つの特徴】
- 2つの加算の統合による新評価体系:総合入院体制加算(総合性)と急性期充実体制加算(集積性)を統合し、拠点病院としての「総合性」と「集積性」の双方を一体的に評価。5段階の区分で、病院の実績水準に応じたきめ細かい評価を実現。
- 入院期間に応じた逓減制の導入:7日以内を最高点とする3段階の逓減制の点数が設定されている。
- 人口の少ない地域への配慮:加算5では急性期病院一般入院基本料(A又はB)を対象として、施設基準が緩和されている。
急性期総合体制加算は、従来2つに分かれていた拠点病院の評価を一本化し、総合性と集積性を兼ね備えた病院をより手厚く評価する制度です。
まずは自院の現行加算の算定状況を確認した上で、どの区分で取得が可能か検討することが重要です。
診療報酬改定対応の第一歩は、
管理体制の現状把握から
持続可能な組織運営には、収益増加策と合わせて管理体制の再構築が重要です。
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