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【令和8年度診療報酬改定】オンライン診療×電子処方箋の見直しを徹底解説|施設基準の厳格化・遠隔電子処方箋活用加算(10点)新設
令和8年度 診療報酬改定 オンライン診療 その①

【オンライン診療×電子処方箋】施設基準の厳格化と
遠隔電子処方箋活用加算(10点)新設を徹底解説

情報通信機器を用いた診療の施設基準に、チェックリスト掲示・医療広告ガイドライン遵守・向精神薬処方時の重複投薬等チェックを追加。電子処方箋を活用したオンライン診療を評価する遠隔電子処方箋活用加算(月1回10点)を新設。

公開日:2026年2月23日 | 辻本公認会計士事務所(医療機関専門・全国対応)

【出典・免責事項】本記事は、2026年2月13日に中央社会保険医療協議会(中医協)が厚生労働大臣に答申した令和8年度診療報酬改定の内容に基づいて作成しています。正式な告示・通知は今後公布される予定です。内容には細心の留意を払っておりますが、記載の内容をもとに生じたあらゆる損害に関して、一切の責任を負いません。

令和8年度診療報酬改定において、オンライン診療(情報通信機器を用いた診療)に関する複数の見直しが行われます。
本記事では、オンライン診療関連の改定の中でも、①オンライン診療の施設基準の厳格化と、②遠隔電子処方箋活用加算(月1回10点)の新設について解説します。
いずれも、オンライン診療の適正な推進と電子処方箋の利活用促進を目的とした改定であり、オンライン診療を実施する医療機関では対応が必要です。

1. オンライン診療の位置づけ

情報通信機器を用いた診療(オンライン診療)は、平成30年度(2018年度)に診療報酬上の評価が新設され、令和4年度(2022年度)改定で情報通信機器を用いた初診・再診に再編されるなど、オンライン診療の普及に対応して評価制度も整備されてきました。

【オンライン診療に関する主な評価・施設基準等】

初診料(情報通信機器を用いた場合):253点
再診料(情報通信機器を用いた場合):75点
施設基準(告示):情報通信機器を用いた診療を行うにつき十分な体制が整備されていること

今回の改定では、実態を反映してオンライン診療の施設基準厳格化と合わせて、電子処方箋を一体的に活用する方向性が明確に打ち出されています。

2. 改定の背景:中医協での議論ポイント

令和8年度改定に向けた中医協の議論では、オンライン診療の適正化と電子処方箋の利活用に関して、主に以下の議論が行われました。

【中医協・入院外来分科会で指摘された主な課題】

  • オンライン診療の実態:患者に対し他医療機関への受診を指示するのみの事例や、医師が国外から実施した事例があること等からオンライン診療の有効で適切な推進のための評価が必要
  • 指針・ガイドラインへの遵守状況:「オンライン診療の適切な実施に関する指針」や「医療広告ガイドライン」を遵守していない事例がみられる
  • 電子処方箋の利活用:電子処方箋サービスの重複投薬等チェックにより過剰処方を防ぐことができる可能性

これらの議論を踏まえ、今回の改定では「オンライン診療の適正な推進」と「電子処方箋システムを活用した質の高い処方の評価」の2つの観点から見直しが行われました。

3. 変更点①:施設基準の厳格化(3つの追加要件)

情報通信機器を用いた診療の施設基準(通知)に、3つの要件が新たに追加されました。

【改定の趣旨】

「オンライン診療の適切な実施に関する指針」及び情報通信機器を用いた診療の実態を踏まえ、情報通信機器を用いた診療の施設基準に、チェックリストのウェブサイト等への掲示及び医療広告ガイドラインの遵守等を追加する。また、向精神薬の処方実態を踏まえ、向精神薬を処方する場合には、電子処方箋管理サービスによる重複投薬等チェックを行うことを要件とする。

追加要件①:チェックリストのウェブサイト掲示

現行では、「情報通信機器を用いた診療の初診において向精神薬の処方は行わないこと」のホームページ等への掲示が求められていました。

改定後は、掲示内容が拡充され、以下の2項目を医療機関のウェブサイトに掲示することが必要になります。

【ウェブサイト掲示が必要な事項】

(イ)情報通信機器を用いた診療の初診において向精神薬の処方は行わないこと
(ロ)当該保険医療機関での対応状況を記入した「オンライン診療指針」の遵守の確認をするためのチェックリスト

(イ)は現行でも求められている事項ですが、(ロ)のチェックリスト掲示が新たに追加されます。

追加要件②:医療広告ガイドラインの遵守

施設基準(通知)に、医療広告ガイドラインの遵守が新たに追加されました。

【追加される施設基準(通知)】

医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)を遵守していること。また、当該保険医療機関のウェブサイトを作成する際には、「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書」を参考にすること。

オンライン診療を提供する医療機関のウェブサイトは、患者が医療機関を選択する際の重要な情報源となっています。一方、医療広告ガイドラインに遵守していない事例がみられることから、施設基準として医療広告ガイドラインの遵守が明文化されました。

追加要件③:向精神薬処方時の重複投薬等チェック義務化

施設基準(告示)として、「向精神薬を適正に使用するために必要な体制が整備されていること」が新設されました。それに合わせて、施設基準(通知)で以下の対応が求められます。

【向精神薬処方時の義務】

向精神薬を処方するに当たり、電子処方箋管理サービスによる重複投薬等チェックを行うこと。

これは、オンライン診療において向精神薬を処方する場合に、電子処方箋管理サービスを用いて患者の処方履歴を確認し、重複投薬等がないかのチェックを義務づけるものです。

【経過措置】

電子処方箋システムを有していない場合には、令和10年5月31日までの間に限り、以下のいずれかを用いて薬剤情報を確認することで代替可能です。

  • オンライン資格確認等システムを用いた薬剤情報の確認
  • 医療機関間で電子的に医療情報を共有するネットワークを用いた薬剤情報の確認

経過措置が設けられていますが、令和10年6月以降は電子処方箋システムでの対応が必要となる予定です。

施設基準の変更の全体像

施設基準(通知)項目現行改定後
ア~ウ(基本的な体制整備)規定あり変更なし
 向精神薬不処方の掲示ホームページ等に掲示ウェブサイトに掲示(名称変更)
エ(ロ) チェックリスト掲示(規定なし)新設:オンライン診療指針の遵守確認チェックリストをウェブサイトに掲示
 医療広告ガイドライン遵守(規定なし)新設:医療広告ガイドラインの遵守、ウェブサイト事例解説書の参考
 向精神薬処方時の重複投薬等チェック(規定なし)新設:電子処方箋管理サービスによるチェック(経過措置あり:R10.5.31まで代替手段可)

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4. 変更点②:遠隔電子処方箋活用加算の新設(10点)

電子処方箋システムを活用した質の高い処方を評価する観点から、情報通信機器を用いた診療において電子処方箋を発行した場合の新たな加算が設けられました。

【遠隔電子処方箋活用加算】

点数:10点(月1回)
対象:情報通信機器を用いた医学管理等を算定する患者
施設基準:電磁的記録をもって作成された処方箋を発行する体制を有していること

算定要件の詳細

遠隔電子処方箋活用加算は、以下の3要件すべてを満たした場合に算定できます。

電子処方箋システムにより薬剤情報を確認し、重複投薬等チェックを実施すること

患者に対し事前に調剤する保険薬局を聴取し、当該保険薬局の電子処方箋の対応状況を確認すること

電子処方箋を発行すること(引換番号が印字された紙の処方箋を除く)

5. 改定内容の全体比較(現行 vs 改定後)

項目現行改定後
チェックリスト掲示規定なしオンライン診療指針の遵守確認チェックリストをウェブサイトに掲示
医療広告ガイドライン規定なし施設基準に遵守を明記
向精神薬処方時の重複投薬等チェック規定なし電子処方箋管理サービスによるチェックを義務化
遠隔電子処方箋活用加算規定なし新設 10点(月1回)

6. 医療機関が対応すべき実務チェックリスト

1ウェブサイトの掲示内容の確認・更新

オンライン診療指針の遵守確認チェックリストを作成し、医療機関のウェブサイトに掲示する。

2医療広告ガイドラインへの適合確認

自院のウェブサイトが医療広告ガイドラインに適合しているかを点検する。

3遠隔電子処方箋活用加算の算定可否の検討

電子処方箋の発行体制が整備されている場合、遠隔電子処方箋活用加算の算定可否を検討する。

4業務フローの整備

オンライン診療の際に、遠隔電子処方箋活用加算の算定要件を満たした一連のフローを構築する。

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7. まとめ

【改定のポイント一覧】

  1. チェックリスト掲示を義務化:オンライン診療指針の遵守確認チェックリストをウェブサイトに掲示
  2. 医療広告ガイドライン遵守を明文化:不適切な広告による患者の誘引防止
  3. 向精神薬処方時の重複投薬等チェックを義務化:電子処方箋管理サービスによるチェック
  4. 遠隔電子処方箋活用加算(10点)を新設:オンライン診療×電子処方箋の一体的な活用を評価

今回の改定は、オンライン診療の適正化(施設基準の厳格化)と質の向上(電子処方箋の活用促進)を両輪とするものです。

また、遠隔電子処方箋活用加算(10点)が新設され、オンライン診療を実施する医療機関にとっては算定可否の判断の上で、オペレーションを整備することが重要です。

次回(第2回)は、D to P with D、D to P with Nなど遠隔連携診療料等の見直しについて解説します。

その他の令和8年度診療報酬改定項目の解説はこちら

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